Power(アンプ出力段用)トランジスタ実測データ

 hFEはDC的なIc/Ibではなく、その変化分 dhFE=dIc/dIbの値を見ています。「低下%」の欄はIc=0.2A→2AでのhFE低下幅です。(Vce=10V)
 飽和はVce=1V時のdhFEが低下を始める電流(A)、VAはVce=10VでIc=50mA/0.5A時の値をそれぞれ記入しています。


●古いCAN型出力石

昔のパワーTrはチップサイズを限界まで切り詰めていたのか、Cobは比較的小さくても電流リニアリティが非常に悪い。
東芝2SB554/2SD424は15A定格だがわずか2.5AでPNPのhfeは半減してしまう。NPN側は低下量は小さめだが小電流での立上りが悪い。
2SA663/C793は7A定格に対し1.5Aでhfeが半減する。耐圧が低いのでVAが小さくて飽和に対しては比較的強い。
NECの2SB541/D388は時代が古いせいかhFEが低くてリニアリティも悪く、非常にプアな特性である。
日立の2SA753/C898は東芝B554/D424に近い特性。A756/C1030は定格が小さい分、使える電流範囲も狭い。

定格⊿hFE実測値飽和VA実測値定格⊿hFE実測値飽和VA実測値
品番メーカーVceoIcPchfeftパッケージ@
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B554東芝-18015A150W806TO-3 CAN864251.2 1.2A350280D424東芝18015A150W805TO-3 CAN857511.8 1.0A500450
A663東芝-1007A60W1506TO-3 CAN974850.5 1.0A125125C793東芝807A60W1509TO-3 CAN1237340.7 0.8A200190
B541NEC-1108A80W807TO-3 CAN522355.8 0.9A180150D388NEC1408A80W809TO-3 CAN524023.1 0.65A220150
A753日立-14010A100W6020TO-3 CAN1056042.9 1.1A200190C898日立1507A80W4015TO-3 CAN726213.9 1.0A500450
A756日立-806A50W8010TO-3 CAN834051.8 1.2A250220C1030日立806A50W8020TO-3 CAN706014.3 0.9A200210



●東芝高ftタイプ

東芝2SA1095/2SC2565シリーズは比較的高hFEで電流リニアリティは優れているが、NPN石の飽和が早く5A流すとVceに9Vは残さないと準飽和領域に入ってしまう。
A1093/C2563は電流定格は半分だが、耐圧が低いので電流特性その物はA1095/C2565と変わらない。
C2563は極初期の絶縁ブッシングが必要な形状の物と、普通のTO-3P形状の物では特性が異なり、旧型品はC2564に近い特性、普通のは飽和に強くてVAも高い別物の特性。
(下の写真で、取付穴の金属むき出しの方が旧形状、モールドで絶縁されているのが普通の物。特性図は上が旧型で一番下が普通のTO-3P形状のほう)

定格⊿hFE実測値飽和VA実測値定格⊿hFE実測値飽和VA実測値
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A1093東芝-1208A80W12090TO-3P1421308.5 1.2A300270C2563旧東芝1208A80W12090TO-3P旧型1601600.0 0.5A550400
A1094東芝-14012A120W150702点止め15513612.3 0.9A310290C2564東芝14012A120W150902点止め1581580.0 0.5A900600
A1095東芝-16015A150W150602点止め88844.5 1.0A440380C2565東芝16015A150W150802点止め1651650.0 0.6A450400
C2563新東芝1208A80W12090TO-3P1551484.5 0.75A1200700



●サンケン製5種

サンケンの石はchipサイズが大きいのか飽和に強くてVAも高い傾向にあり、CAN型のA747A/C1116Aは他社の同時代のCAN型と比較しても優秀な特性です。
hfeの電流特性は品種によってやや癖があり、電流容量の小さい石はPNP/NPN共に大電流での低下がやや大きい。C3858は逆に小電流でhfeの低下が大きく0.2Aではまだ寝ぼけている状態。
高ftプロセスのA1386A/C3519AはhFEは低いが電流直線性もVAも高く、非常に優れた特性を示しています。

定格⊿hFE実測値飽和VA実測値定格⊿hFE実測値飽和VA実測値
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0.5A
A747Aサンケン-14010A100W6010TO-3
CAN
12310514.6 1.4A300300C1116Aサンケン14010A100W6015TO-3
CAN
787010.3 1.0A700700
A1386Aサンケン-18015A130W7040TO-3P100982.0 1.4A450400C3519Aサンケン18015A130W7050TO-3P70700.0 1.3A30002800
A1490サンケン-1208A80W10020TO-3P16811829.8 1.1A350320C3854サンケン1208A80W10020TO-3P1701558.8 0.8A300290
A1492サンケン-18015A130W10020TO-3P13511514.8 1.1A450400C3856サンケン18015A130W10020TO-3P96104-8.3 1.2A900750
A1494サンケン-20017A200W100202点止め15012814.7 1.2A450450C3858サンケン20017A200W100202点止め7090-28.6 1.0A13001400



●その他各社

KTB778/KTD998とB688/D718はローコスト型で電流リニアリティは良くないが高耐圧ではないので飽和には強い。
A1141/C2681はNECの高ft品で、高hFEで電流には強いが耐圧が低くてVAが小さい。高電圧を掛けるハイパワーアンプではなく、電圧の低い用途に適している。
富士通のA1075/C2525も大電流に強いがhFEが低いのが弱点。性能的には良いバランスを持っている。

定格⊿hFE実測値飽和VA実測値定格⊿hFE実測値飽和VA実測値
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0.5A
KTB778SEC-12010A80W100-TO-3P
FM
1256052.0 1.2A200170KTD998SEC12010A80W100-TO-3P
FM
1107829.1 1.2A700400
B688東芝-1208A80W10010TO-3P1205851.7 1.2A210180D718東芝1208A80W10012TO-3P897021.3 1.0A1300500
A1141NEC-11510A100W14090TO-3P22018018.2 1.3A120120C2681NEC11510A100W14080TO-3P1841754.9 1.1A700500
A1075富士通-12012A120W110602点止め98908.2 1.0A280250C2525富士通12012A120W110802点止め8595-11.8 0.9A1300700



●低飽和型

三洋のB828/D1065は初期の低飽和型で、電流リニアリティもVAもあまり良くない。
東芝A1329/C3346(TO-220型)は電流リニアリティもVAも非常に優れている。
サンケンA1726/C4512は特に低飽和型ではなくて普通のローコストタイプの特性。
B1203/C4322等、近年の中出力Trはftが高くスイッチングも高速でhFEも大きいのが多い。

定格⊿hFE実測値飽和VA実測値定格⊿hFE実測値飽和VA実測値
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0.5A
B828三洋-5012A80W10010TO-3P1409830.0 1.8A5050C1065三洋5015A90W14020TO-3P19516813.8 2.2A340260
A1329東芝-8012A40W18050TO-2201301244.6 2.0A160150C3346東芝8012A40W18080TO-2201251194.8 1.7A900650
A1726サンケン-806A50W12020TO-2201358040.7 0.8A250230C4512サンケン806A50W12020TO-2201009010.0 0.8A550350
B1203三洋-505A20W180150To-252200100500.7A9060C4332NEC605A15W200150To-252185197-6.5 1.3A400170


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